2025年12月5日(金)に、B2Bマーケティングリーダーとしての視座を鍛える勉強会と、同じ立場のマーケター同士が交流するネットワーキングを通じて事業成長のためのマーケティングアラインメントを深く考える場として、第2回「IGC Harmonics Echo」を開催いたしました。
当日の様子を一部ご紹介いたします。
営業とマーケティングの連携をどう進化させるか
まず登壇いただいたのは、長瀬産業株式会社の南氏です。「営業とマーケティングのすれ違い」をどう連動へ変えていくか、その具体的なプロセスをご紹介いただきました。特に、トップのコミットメントを引き出して共通KPIを設計し、先行事例を横展開していく工夫は、多くの参加者にとって参考になるポイントだったのではないでしょうか。

長瀬産業株式会社 南氏
続いて、NECソリューションイノベータ株式会社の小川氏からは、「収益性重視」の全社戦略への舵切りを受けた、営業とマーケティングのアラインメントの進化についての講演がありました。テーマとターゲットを絞り込むVP(Value Proposition)の活用や、GTMトレーニングを取り入れた標準プロセスの構築など、具体的な内容に参加者の視線が集まりました。特に、運用初期の壁を乗り越え、1年でMQLから商談への転換率を大きく改善した取り組みは、実践的なヒントとして強い反響を呼びました。

NECソリューションイノベータ株式会社 小川氏
最後に、AGC株式会社の田中氏・松本氏からは、MA導入から8年間の工夫と試行錯誤について共有いただきました。顧客がいつ原料を見直すか読めない中で、「常に候補として思い出してもらう」ことを目指した接点づくりや、営業活動とMAを統合する仕組みづくりの取り組みは、いわゆる“究極のB2B”ビジネスならではのリアルな話として、参加者の関心を集めました。

AGC株式会社 田中氏

AGC株式会社 松本氏
そして、IGCH Echoスペシャルセッションとして、弊社代表の庭山が「世界のB2Bマーケティングは激動期に入りました」という言葉とともに、現状のB2Bマーケティングの変化について講演いたしました。このセッションでは、マーケティングの最新動向を背景に、「モノ売りからコト売りへの転換」を中心に据えた課題をお伝えしました。
特に、「検索からAIへのシフト」「電話を取ってくれない世界」「営業と会いたくない世界」という現実を前に、従来型の手法では成果を出しづらい時代が来ていることが共有されました。さらに、顧客が発する「バイイングシグナル」を捉え、マーケティング・営業・ものづくりがアラインメントする重要性について解説。参加者からも「今まさに自社が直面している課題だ」といった感想が寄せられました。

シンフォニーマーケティング株式会社 庭山
ネットワーキングで深まる絆と学びと刺激

ネットワーキングの様子
今回も、参加者同士が交流を深めるネットワーキングの時間を設けました。初参加の方も多かったため、最初は少し緊張されている様子も見られましたが、すぐに打ち解け、活発な意見交換が行われました。
各テーブルでは、自社の営業・マーケティングの分断をどう解消するか、MA/SFA導入後の活用の壁、経営層の巻き込み方などをテーマに、具体的な議論が続きました。登壇者に直接質問をしたり、自社のケースを相談したりする参加者が絶えず、「ここでしか聞けないリアルな話」に触れられる場として、大いに盛り上がりました。

参加者の声
- 他登壇者の発表の中にも同じ悩みが見え隠れしており、興味深かったです (製造業)
- 当社がマーケティング活動を始めるにあたってのヒントをたくさん頂き、感謝しております (サービス業)
- 多くの企業が同じ悩みを持っていることが分かりました。横のつながりも大事にしていきたいと思いました (IT業)
- 業種が違いすぎて、我々の課題に合うか疑問でしたが、少し視点を変えると対応策を含め参考になりました (IT業)
- 初めての参加でしたが、各社、同様の悩み・課題を持っておられることに驚きました。共に分かち合い、進めていく、とても良い会だと思います (製造業)
- 日々手探りで活動していましたが、他社様にも同様の悩みがあることがわかり、良かったです (IT業)
IGCH Echoを開催して 代表庭山一郎より
今、世界のB2Bマーケティングは大きな激動期を迎えています。これは私の40年のキャリアでも経験が無いレベルのものです。何よりも顧客の購買プロセスが変化しました。多くのバイヤーは選定が70%の段階になるまで営業と会いたくないと考えています。電話を掛けても出てくれず、アンケートにも回答しません。そしてAIの影響で検索由来のオーガニックも激減しています。情報収集行動も大きく変化したのです。
一方、企業のマーケティングの現場では営業部門や他部門との連携、部下やチームの育成、そして経営層からの期待に応えるべく、日々多くの課題と向き合い、悪戦苦闘しておられます。
今回のIGCH Echoでは、長瀬産業様、NECソリューションイノベータ様、AGC様の3社が、「営業とマーケティングのアラインメント」という共通テーマのもと、成功事例だけでなく、率直な “ 苦労話 ” も含めて共有してくださいました。
3社に共通していたのは、営業とともに戦略・ターゲット・提供価値を再考し、KPIやフレームワークなどの定義を揃えて共通言語化することで、“ 同じ言葉 ” “ 同じ数字 ” で会話をする環境を整えていること。そして、成功事例だけでなく、うまくいかなかった経験も次の一手に活かしていることです。アラインメントは単なる掛け声ではなく、地道な標準化と対話の積み重ねによってのみ実現する、そのことを改めて実感させてくれました。
今回のIGCH Echoは、皆さまがつながり、次の一歩を踏み出すための “ 起点 ” となる場です。そして、2026年8月4日・5日に開催予定の「IGC Harmonics 2026」では、さらに多くの学びと出会い、国内外の最新マーケティング事例を共有する場を提供したいと考えています。私たちは、皆さまの事業成長とマーケティング&セールス組織の進化に少しでも貢献できるよう、挑戦を続けてまいります。
マーケティングで日本を元気に!