はじめに
長年BtoBマーケティングを研究してきた当社パートナーのRuth P. Stevens氏に、米国を中心とした2019年のマーケティング動向や技術トレンドなどをお話いただきました。
Ruth P. Stevens
ルース・スティーブンス氏
※当レポートは、2019年11月19日に開催したシンフォニーマーケティング主催「グローバルマーケティングセミナー 2019」のRuth P. Stevens氏の講演抄訳です。
まず、アメリカでのいくつかの興味深い動向についてお話しします。
いくつかの予測やトレンド情報は、私が過去2年間にわたって言及してきたこととほぼ同じです。ABM、ビデオ(動画)マーケティング、モバイルマーケティング、インフルエンサーマーケティングなど、他の企業も取り上げていることがわかり、私も自信が持てます。
それでは、私の考える11のトレンドをご紹介しましょう。
1.レビューサイトの活用
消費者モデルを考える際、さまざまなランキングや口コミサイトが挙げられます。今、これらがBtoBの世界でも活用されています。消費者レビューサイトで有名なのは、日本では「食べログ」、アメリカでは「Yelp」などがあります。「トリップアドバイザー」や「楽天トラベル」なども同様のものです。これらは、消費者自身が星の数を決めたりレビューを書いたりできるサイトです。ランキングや評価がBtoBでもスタンダードになり始めていることは、大きな動きだと思います。
そしてBtoBの購買担当者もこのようなサイトを使い始めており、ベンダーを選ぶ際の情報源として、ベンダーの能力の予測にも使っているようです。
テクノロジーやサービスを提供する側としては少し不安もありますが、リスクを避けるわけにはいきません。お客様がネガティブな口コミを書き、それを読んだ別のお客様が購買決定をする可能性もありますが、これらに対峙して対策をとっていく必要があります。
2.ミレニアル世代のトレンド
「ミレニアル世代」がBtoBの購買プロセスに関わり始めています。1980〜94年生まれのこの世代の人たちが重要なインフルエンサーになってきており、BtoB購買プロセスにも関与し始めているという話は2年前もお話ししました。
今では意思決定の役割を担うミレニアル世代が、テクノロジー購買者の約40%を占めるようになりました。これは非常に高い割合だと思います。
さらに、次にこの購買者層に入りつつあると言われているのが「Z世代」、つまり1995〜2015年生まれの人たちです。Z世代はインターネット普及後に生まれた、いわゆるデジタルネイティブの人たちです。これからは私たちマーケター側も、彼らの動機や思考回路を知る必要があるのです。彼らと私たちの思考回路がいかに異なるかということは、研究に値するでしょう。
3.音声検索のテクノロジー
みなさんの中でも、AlexaやGoogle Home等のテクノロジーをお使いの方がいるかと思います。最近、購買担当者もこうした音声検索を使い始めています。そして彼らの約40%が、「ビジネス用途の検索に音声を使っている」と答えています。
そのため、Webサイトやコンテンツをきちんと検索エンジンに見つけてもらえる構造にして、音声検索の最適化を図っていく必要があります。また、FAQも質問事項に的確に応えられるように作り込まなくてはなりません。
さまざまな検索エンジンや音声検索ツール(Siri、GoogleのGoogle Assistant、MicrosoftのCortana、AmazonのAlexaなど)に関して調査した過去3年のデータでは、検索の質自体が低下していることが分かっています。もしかすると、これらのテクノロジー開発は飽和状態であり、今後の追加投資などがなければ、検索の正確性向上は難しいのかもしれません。
しかし購買担当者の約40%がこの音声検索ツールを使っている状況を踏まえ、私たちは今後ここに注力していかなくてはなりません。
4〜11のトレンド
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Ruthの今年のバズワード
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購買担当者
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イベントマーケティング
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BtoBコミュニケーション
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マーケティングデータベースの現代化
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カスタマーサクセス
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購買プロセスを円滑にする新しいプラットフォーム
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予測分析の成熟