【HubSpot Japan共催セミナーレポート】AI時代のB2Bマーケティング、エンタープライズ企業が見据える「その先へ」

戦略 組織・ナレッジ システム Top Runners
【HubSpot Japan共催セミナーレポート】AI時代のB2Bマーケティング、エンタープライズ企業が見据える「その先へ」

Webで見つけてもらえなくなり、電話は繋がらず、商談に呼ばれた時には比較検討が終わっている──。多くのエンタープライズB2B企業がいま直面しているこの現実に、どう向き合うべきか。

Top Runners今回は、2026年8月26日(水)に開催したHubSpot Japan株式会社との共催セミナーから、HubSpot Japan カントリーマネージャー 伊佐裕也氏と当社代表 庭山一郎によるトークセッション、ライブデモ、そして参加者との双方向Q&Aまで、2時間にわたり語られたAI時代の実像と打ち手のダイジェストをご紹介します。

買い手は、選定の70%が終わるまで営業に会わない

庭山は冒頭、「マーケティング歴40数年のキャリアの中でも、今ほどの激動は経験がない」と語りました。象徴的なのがオーガニックトラフィックの消失です。あるソフトウェア企業が2025年初頭に「年内に20%程度失われる」と予測したところ社内で笑われたものの、実測では35%の減少だったといいます。

6sense社 Kerry Cunningham氏のリサーチでは「購買側は選定の70%が終わるまで営業と会いたがらない」「81%の商談は顧客側から始まる」というデータが示されました。この傾向は日本でも同様で、HubSpotの調査では、買い手が営業と初接触した時点で、すでに63.5%が複数候補のショートリストを作成済みという結果が出ています。

勝負は「ショートリスト」で決まる。鍵はプレファレンスマーケティング

さらに庭山は市場構造のデータを提示。市場全体の60%はまだ何も検討しておらず、最終的な比較検討(バリデーション)に入るのはわずか6%。営業が会える相手は常に市場の5〜6%しかないという現実です。しかも、ショートリストから漏れたことに気づくのは数カ月後、その時点では手遅れです。

その鍵として挙げられたのがプレファレンスマーケティング。圧倒的な技術・価格優位性を持てない今、バイインググループは「この会社が好きかどうか」でショートリストを決めている──だからこそブランド(広報・PR)とデマンドジェネレーションの融合が必要だという考え方です。伊佐氏も「情報収集の在り方が変わる中で、好かれるマーケティングをやらなければならない。相手から価値を受け取る前に、こちらが価値提供をして関係性を築くサイクルを回す必要がある」と応じました。

微弱なバイイングシグナルを拾う「ONEデータベース」という発想

B2Bの購買行動は必ず「課題」または「リスク」から始まります。従来の営業はRFP段階で呼ばれていましたが、それでは受注につながらない。しかもAIの影響で、ビジネスチャンスがオープンな期間は半年程度から2〜3カ月へ短縮しています。

日本では欧米のようにサードパーティデータを自由に混ぜることが難しいため、庭山が提唱したのは、同じ顧客行動データをマーケティング・営業・ものづくり(設計開発部門)がリアルタイムに共有し、同じ会議で議論する手法です。「このホワイトペーパーをダウンロードしたということは、開発視点ではこう考えているのではないか──そうした濃いディスカッションが重要」。伊佐氏はこれを受け、「そのためには顧客情報が一箇所にまとまっていることが前提」と、ONEデータベースの重要性を指摘しました。

AIに任せることで生まれる、人間ならではの価値

デモセッションでは、当社取締役 田中とHubSpot社 桑垣氏が、バイヤーインテント機能、エンタープライズ要件(監査ログ、サンドボックス、複数ブランド管理、1,500万レコード保持)、AIエージェント(Agent Hub/Agent CLI)などを実機で解説。Q&Aセッションでは製造業の商談化シグナル、ハウスリストのナーチャリング手段、MQL対応AIエージェントの企画など具体的な相談が相次ぎ、予定時間を超えても質問が途切れることはありませんでした。

参加者からは「これから求められるのは想像力。仮説の検証にAIは強いが、最初のイマジネーションは人間が立てなければならない」という感想も。AIに資料作成や情報整理を任せ、人間は誠実さ・共感・気配りといった本質的な価値に向き合う──原点回帰こそが、AI時代の勝ち筋なのかもしれません。

本レポート(FIELD NOTES)では、セミナー当日に紹介したデータや発言をさらに詳しくまとめています。この機会にぜひFIELD NOTES本編をご覧ください。


HubSpot共催イベント FIELD NOTES本編を読む