マーケティングテクノロジーと不景気の関係

組織・ナレッジ Column
マーケティングテクノロジーと不景気の関係

マーケティングテクノロジーと不景気の関係

実は、世界のマーケティングテクノロジーは不景気の時に一気に進化する傾向があります。その理由のひとつは米国では企業の業績が悪化すると真っ先にマーケティングや広報を解雇するからです。解雇した後の少なくなったスタッフで以前と同じ量の仕事をこなすのはテクノロジーの力を借りなければ不可能です。つまりテクノロジーへの期待が高まって、それを糧に進化を遂げるのです。2000年のネットバブルの崩壊、2010年のサブプライムモーゲージクライシスでもマーケティングやセールスのテクノロジーは大きく進化しました。

そして現在がまさにそのタイミングなのです。2023年のシリコンバレー銀行の破綻に象徴される米国IT業界の減速で、18ヶ月間で約10万人のマーケティング関係者が職を失ったと言われています。その穴を埋めるためにテクノロジーへの期待が一気に高まりました。そしてそこにジェネレーティブAIが登場したのです。マーケティング、インサイドセールス、セールス、そしてカスタマーサクセスの各部門が使うテクノロジーの中にもの凄い勢いでAIが浸透し、今ではWebやフォームのコーディングはもちろん、メールもAIが普通に書いています。

そして技術の進化はデータ活用の進化へと向かい、ファーストパーティ、セカンドパーティ、サードパーティデータをコンバインし、インテント(意思のある)データを探り出し、その企業の投資の方向や時期、そして金額までを予想するテクノロジーが既に実装されています。

日本と米国/欧州との差はますます開いています。その現実を理解した上で、グローバルマーケティングをどう構築するかが現在、日本企業が直面している課題です。

Perspective of SYM:研修の参加者データを観て驚いたこと

2020年にB2Bマーケティングの研修サービスを始めて3年が経ちました。実は先月の米国出張の際に、研修サービスについて米国の有識者にアドバイスをもらいたいと思い、現在までの数千名の研修参加者の分析表を作ってもらいました。驚いたことに部署別で観るとマーケティング部門が参加者全体の50%を割っていたのです。営業、ものづくり、広報等の部門がすでに半分を超えていました。

弊社の研修サービスは「マーケティング部門に配属されたけど、マーケティングを体系的に学んだことはない」という日本企業の多くのマーケティング担当者向けに、B2Bマーケティングの基礎を学んでいただくために作ったプログラムです。マーケティング部門を目指す他部門の方が多少はいるだろうと予想していましたが、半数を超えているとは考えてもいませんでした。

研修事業の担当者によると、最初は確かにマーケティング部門の方が受講してくれますが、その方が「このマーケティング基礎研修は絶対営業部門も受けた方が良い」と会社にレポートし、その会社の営業や他の受講者から「研究開発や設計などのものづくりも受講すべきだ」となり、ものづくり部門の受講が急増しているのだそうです。

これは研修サービスをスタートした時には予想していなかったことでした。

考えてみれば、販売予算を背負っている営業パーソンは目の前の商談にフォーカスしています。しかし少し引いた目で市場を観ている場合ではありません。ものづくりは技術や競合製品を観ています。市場を観察するトレーニングは経験していない人がほとんどでしょう。

だからマーケティング研修が必要なのだそうです。