経営層向けの勉強会依頼が増えたメカニズム
私は、自社主催のセミナー、カンファレンス、中央大学や早稲田大学大学院での講義などを合計すると年間で140〜150回、多い年は160回を超える講演を行っています。
その中で、近年増えてきたのが経営層向けの社内勉強会での講演です。その理由を書いてみようと思います。
日本のエンタープライズB2B企業がマーケティング部門を作るようになって約10年になります。早い企業は10年前からで、3年前に作った、これから作る準備中という企業もあります。
つまり経営層がマーケティング部門を持つ価値を認め、人的経営資源を投入して部門を作り、MAなどのインフラを整備する予算を割り当てたのです。これは日本企業にとっては画期的なことでした。
しかし、そうやってやっと誕生したマーケティング部門が何年経っても受注に貢献しない、営業部門から評価されない、という現象が起きています。私たちはこの問題に永年取り組んで来て、そのメカニズムを発見しました。
経営層はマーケティングの重要性を認識して部門を作り、予算を与えました。しかしその経営層も自分の組織の中にマーケティング部門を持った経験はありません。そもそもそれまで日本企業にはマーケティング部門は存在しなかったのですから、経験があるわけもないのです。
そうなると、創設したマーケティング部門を組織上のどこに置いたら良いのか判らない、どのくらいの規模や予算が適正なのかも判らない、どんな人材を割り当てたら良いのかも、どんな業務を担当させたら良いのかも判らない、何で評価して良いかも判らない、という状態なのです。
こうして、ミッションも権限も予算の枠も曖昧な組織が社内で孤立して浮き上がっている、という企業が増えてきました。これはとても良くない状態です。
こうした現象が起きている企業さまから、
「もう一度このタイミングで経営幹部や部門責任者からマーケティングを学び直したい」
というご相談をいただくようになったのです。
B2B企業のためのマーケティングヘルスチェック
私たちは、企業のマーケティングのヘルスチェックのサービスをいくつか揃えています。インフラの健全性を診る診断、組織を診る診断、マーケティング部門やセールス部門の人や組織のマーケティングナレッジを偏差値という形で可視化するアセスメントなどです。
こうしたものを駆使して、現状とあるべき姿を描き直し、せっかく作ったマーケティング組織が受注に貢献し、社内から評価されるように取り組むと共に、経営層や部門責任者に対してのマーケティング勉強会を開催しています。こうした方々はマーケティングを体系的に学んだ経験はありませんが、ビジネスの経験とセンスはお持ちですから、驚く程に理解が早いのです。
エンタープライズB2B企業が元気にならない限り日本は元気になれません。そのために必要なことはマーケティングのナレッジなのです。