弊社へのご依頼の多くはマーケティング部門の垂直立ち上げと、マーケティング部門のリノベーションです。そこで今回はリノベーションについて説明します。
日本のB2B企業がMA(マーケティングオートメーション)を導入し始めたのは2014年からです。この年にEloqua、Marketo、HubSpotなどの世界のMAベンダーが日本でビジネスを開始し、それに影響されて日本企業もMAツールを次々にリリースしました。
実は米国ではMAの普及は2000年から始まっており、この時点で約15年の遅れをとっていました。それはさておき、私はようやくMAの普及とそれを使うマーケティングの組織化が始まった日本のB2B企業を眺めながら、“これで日本のB2Bマーケティングのキャッチアップが始まる。日本人はオリジナリティより改良・改善が得意な民族なので、日本はこれから世界に急速に追いつく”と思いました。
結果から言えばそうはなりませんでした。
考えてみればMAは「道具」です。道具の活用レベルは、その目的、つまり何をしたいのかというマーケティング戦略と、使い手の技量、ノウハウ、つまり誰が使うのかというマーケティング組織に導かれます。日本企業にはそれがほとんど無かったのです。
そもそもマーケティングを体系的に学んだ人材を持っていない日本企業には明文化されたマーケティング戦略が無い場合が多く、そうなると「組織は戦略に従う」というA・チャンドラーの言葉で言えば従うべき戦略が無い組織は何をすべきかが明確でない組織になってしまいます。
その組織がMAという道具を導入しても出来る事はメール配信くらいで、受注に貢献し、営業や販売代理店から頼りにされる存在にはなれるはずも無いのです。
しかし最初の2〜3年はそれで済んでいました。なぜなら会社の中にはマーケティングを学んだ人も経験者もいませんから、何をやっているのか、何をやっていないのかが判らなかったのです。
しかし、時が過ぎ、3年目、5年目になると「ちょっと待てよ」となります。
これだけお金を使って、リソースを使って、マーケティング部門はいったい何をやっているのか?受注の役に立っているのか?となります。そして活動を成果と紐付けてレポートせよ、となり、当然ですがそんなレポートは出てきません。
でも、今時持っているマーケティング部門を廃止するのは時代に逆行しているのは誰でも理解しています。そもそもマーケティングが悪いのではなく、マーケティング組織の設計が悪かったのです。
そこで、マーケティング部門のリノベーションをお願いします、という冒頭の話になります。
過去に弊社がマーケティング部門の立ち上げに関わった企業もあれば、まったく関わってこなかった企業もありますが、やることは同じです。
まず現状の把握です。
ビジネス環境、全社から見たマーケティング部門への期待、変化したミッションなどをヒアリングします。さらに現状の組織のリソースバランスやナレッジレベルも診断します。やろうとしているマーケティングを整理出来たら、リソースやツールを診断し、合っていないものは入れ替えます。そして経営幹部、事業マネジメント、マーケティング組織の現場それぞれに研修を行います。成果はマーケティング組織だけでなく、企業全体のマーケティングナレッジに導かれるからです。
我々はこれを4〜6ヶ月で行い、組織をリノベーションし、軌道に乗るまで伴走します。
こうして、ただメール配信しているだけだった組織や無闇に電話を掛け続けていた組織が、営業や販売代理店と有機的に連携し、受注に貢献する組織に生まれ変わります。
良くない状態になってしまったマーケティング組織を健康な状態に整え直す。これをやるにはかなりの経験と知識、マーケティングに関する洞察力などが必要になりますが、とてもやりがいのある仕事なのです。
私は、今あるマーケティング組織をちゃんと機能するようにリノベーションすることは、激しい変化の中で戦う日本企業にとって最も優先順位の高い課題のひとつであり、時代に適応するための大切な要素だと考えています。
経営戦略を実現するために「マーケティング組織のリノベーション」に一緒に取り組みませんか?