B2Bマーケティングのグローバルスタンダードを体感できる2日間。IGC Harmonics 2025を終えて

IGC Harmonics Column
B2Bマーケティングのグローバルスタンダードを体感できる2日間。IGC Harmonics 2025を終えて

B2Bマーケティングのグローバルスタンダードを体感できるカンファレンスIGC Harmonics 2025が
7月15日、16日の2日間、ホテル椿山荘東京で開催されました。今年で3回目の開催となり、50社140名のB2Bエンタープライズ企業のマーケティングリーダーが参加し特別な時間を共有することができました。
今回は、開催直後の速報レポートとして、今年のカンファレンスを振り返ります。

DAY1:社内で戦うB2Bマーケターが、失敗から導いた成果を共有しお互いに学び合う1日

IGC Award表彰式&受賞プレゼンテーションからスタート

IGCサービスの「学び」には、次世代のマーケティングリーダーを育成するためのプログラムが複数あり、積極的に活用いただいています。IGC Awardは、現場のマーケターの日々の奮闘に光を当て、次のステップを目指していただくためのプログラムです。そのため、“Revenue Driver”であるマーケターの中から、短期間で目覚ましい進化を遂げた“The Best Revenue Driver”を顕彰します。今年は、Structure部門でNECソリューションイノベータ株式会社 三重野様、Demand Generation部門で株式会社日本触媒 杉浦様が受賞されました。

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3社のケーススタディセッション:テーマはABM・PRM・Eシェイプ組織

今年は、外資系企業である、日本IBM社、日本マイクロソフト社にケーススタディセッションに登壇いただきました。数字や成果、組織の役割や連携など、実践的で具体的な取り組みと、日本市場で行うマーケティングの難しさや課題などを共有いただくことができました。
長瀬産業様には、創業193年のグループ企業がどのように、横軸マーケティング組織を推進しているかをお話しいただきました。同じように創業の長い企業の皆さまには多くのヒントと共感をご提供いただけたのではないでしょうか。

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長瀬産業株式会社 成瀬 雅則 氏、姫井 佐恵 氏

お立場別の2つのインタラクティブセッション

エクゼクティブの方々には、「経営戦略を実現するためのマーケティング戦略と組織」をテーマに、パネラーにRX Japan株式会社 代表取締役社長 田中様、三洋化成工業株式会社の取締役 常務執行役員
経営戦略部門担当 須崎様を迎え、経営とマーケティングについてのディスカッションが行われました。マーケティングリーダーの方々とは、「会社から頼りにされるマーケティングの成果とレポーティング」をテーマに、パネラーの伊藤忠テクノソリューションズ株式会社CROグループ営業戦略本部
全社マーケティング部 部長 隅谷様、ライカジオシステムズ株式会社 マーケティング部 部長 保川 
様と成果について具体的な取り組みや、利用している成果指標、そして課題解決のためのディスカッションが行われました。

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【エグゼクティブ向け】インタラクティブセッション
左から シンフォニーマーケティング 田中 亜矢子、
RX Japan株式会社 田中 岳志 氏、
三洋化成工業株式会社 須崎 裕之 氏

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インタラクティブセッション
左から シンフォニーマーケティング 丸山 直子
ライカジオシステムズ株式会社 保川 千恵子 氏
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 隅谷 崇 氏

DAY1の最後には、庭山によるキーノートセッションです。日本国内でも海外でも環境変化が激しく、その中で日本企業のマーケターは、「連携(Alignment)と収益(Revenue)から逃げてはいけない」こと、そして、それを実行するためのキーファクターが共有されました。

DAY2:グローバルから学ぶ、成果を出すためのマーケティング

今年のキーワード:ABM、ICP、IntentData、BuyingGroupそしてAI

北米から2名のB2Bマーケティングのトップランナーが登壇しました。
日本初来日となる、Kerryは、ABMプラットフォームのトップである、6sense社の
Head of Research & Thought Leadershipです。ABMのKeynoteセッションでは、なぜABMに取り組むべきなのかを、北米のB2BマーケターがMQLにフォーカスすることによって経験してきた、失敗の歴史を通して解説いただき、これから、本格的にABMに取り組む日本企業は、Leapfrog(一足飛び)で実施できる3つの原則が紹介されました。
Knowledgeセッションでは、北米のすべてのマーケターが活用していると言われるインテントデータについて、解説してもらいました。グローバルのTOPベンダーからの正しいインテントデータの解説と、なぜそれが必要なのか、どう活用されるのかを詳しく共有いただきました。Web訪問者のたった3%しかMQLにならないというデータに参加者は衝撃を受けました。

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Kerry Cunningham 氏

当社のアドバイザーでもある、Steveからは、KnowledgeセッションでICPの実践的な活用について、解説いただきました。グローバルB2Bマーケターとの会話で話されないことがない、ICPですが、日本ではまだ活用している企業は多くありません。ICPというフレームワークを取り入れることで、マーケティングの成果がどれくらい上がるのか、そして、それを日本企業がどのようなプロセスで進めればいいのかを解説してもらいました。
KeynoteセッションでのAIの活用について、当社の代表庭山からいつも「日本企業は北米から15年遅れている」と言われていることに対して、AIをマーケティングに取り入れることで、15年を Leapfrog(一足飛び)することができ、私たち日本のマーケターは、今、岐路の決断を求められていることがAI導入の進め方とともに、共有されました。

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Steve Gershik 氏

Kerry、Steve、庭山によるパネルディスカッションは、BuyingGroupです。日本企業がBuyingGroupをどう定義し、成果をどう評価すべきかなど、実践的なB2Bトップマーケター同士の会話が繰り広げられました。

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2日間を通して行うネットワーキング

IGC Harmonicsでもっとも貴重な時間は、参加者同士のネットワーキングです。椿山荘の美味しい食事を食べながら、2日間を通して、ネットワーキングを行います。登壇者への質問、各社の取り組みの共有、社内での連携に関する失敗・成功事例など、同じ立場のB2Bマーケター同士による濃密な会話が繰り広げられます。初めて参加する方は、少し戸惑いながらのネットワーキングとなりましたが、すぐに慣れて、多くの企業の方との会話がいたるところで繰り広げられていました。

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IGC Harmonicsを振り返って~庭山より

明治維新の立役者として近代日本を立ち上げ、日本を欧米列強の植民地政策から守った山縣有朋公爵の邸宅であった椿山荘での2日間、本当に多くの多忙な方々にお集まりいただき、一緒に学びとネットワーキングを体感しました。
40年以上マーケティングのキャリアを持つ私から見ても、今のB2Bマーケティングは経験したことの無い激動期です。はっきり言えることは、B2B企業はもうマーケティング部門だけにマーケティングを学ばせたのでは間に合わないということです。これではマーケティング部門が社内で孤立し、営業などの他部門や販売代理店とも連携出来ず、収益に貢献できないばかりか、グローバルからますます置いていかれます。
マーケティングは経営戦略の根幹に置かれるべきで、ビジネスに関わる人すべてが基礎的なナレッジを身につけなければなりません。私は事業に関わる方すべて、営業やものづくり(設計、研究開発)そして、経営層にもマーケティングを学び直す機会を作っていきたいと考えています。

3回目のIGC Harmonicsについて参加者の皆さんから

  • 参加できて本当によかった
  • 世界のトップランナーの話を直接聞く機会に参加出来て良かった
  • DAY1の日本企業の奮闘を聞いて、苦労しているのはウチだけじゃないと少し安心した
  • 何度も目からウロコが落ち、刺激をいただきました
  • 久しぶりにこんなにノートを書きました
  • 今回が一番良かった
  • 来年も必ず参加します
  • 今度は上司を連れて来ます

などの本当にありがたい感想やコメントをいただきました。

この2日間の学びをそれぞれの企業内での共有をぜひお願いいたします。そのうえで、マーケティングが成果につながるために活用いただければと思います。そして、社内で一緒に戦う仲間をつくるために、このIGC Harmonicsを活用いただければ幸いです。