「IGC Harmonics Echo(以下、IGCH Echo)」は、マーケティングリーダークラスの皆さまが、自社のマーケティング組織や取り組みをさらに成果につなげるための分科会として、不定期に開催するコンパクトなイベントです。
しかし、その内容はリーダーとしての視座を鍛えるための勉強会と同じ立場のマーケター同士のネットワーキングという、濃厚な「学び」と「刺激」が得られる場となっています。つまり、年1回、2日間にわたり開催されるカンファレンス「IGC Harmonics」と同様の体感を、半日ではありますが得られる場でもあるのです。
その第1回を、2025年2月20日(木)に都内のカンファレンスルームとレストランにて開催しました。今回はその模様をご紹介します。
2025年のB2Bマーケティングを俯瞰する5つの視点
「世界のB2Bマーケティングは激動期に入りました」という弊社代表の庭山の第一声で、IGCH Echoはスタートしました。この講演は、「2025年B2Bマーケティング 庭山流プレディクション」で、世界の兆候から見た今年の予測でした。具体的には、最新のトレンドを5つにまとめて紹介。中でも「原点回帰が始まっている」というパートでは、AIを採用したマーケティングテクノロジーがひしめく中、半世紀近く前に提唱されたB2Bマーケティングの考え方や手法に再び光が当たっているという大変興味深い話が紹介され、参加者からも多くの反響がありました。
横軸マーケティング組織の奮闘と部下のモチベーションアップの勘所
ここからは、第一線で活躍されているマーケターリーダーからの講演となります。
まず登壇いただいたのは、旭化成建材の二木氏です。自身が率いる横断型マーケティング組織の立ち上げと運営の奮闘について語っていただきました。特に印象的だったのは、組織の必要性を社内で認めてもらうまで、上層部や関連部署への粘り強い説得を通じて実現したというエピソードです。また、部下の育成において重視する4つのポイントや、バランスト・スコアカードを活用した評価基準の整備など、リーダーシップのあり方として参加者にとっても大いに参考となったのではないでしょうか。
工夫に工夫を重ねたLinkedIn活用によるインド市場の攻略方法
続くセッションは、株式会社クボタの荒井氏から、インド市場でのリードジェネレーション活動についての講演です。特筆すべきは、目標受注金額から逆算し、必要リード数を算出するというデータドリブンのアプローチ。そして、現地の展示会に頼らず、LinkedInを活用したターゲティングとコンテンツマーケティングの徹底的なPDCAにより、約200%の目標達成率には目を見張るものがありました。加えて、3.5人という少数精鋭のチームをまとめ上げる手法も解説され、規模を問わず応用可能なヒントが盛りだくさんの講演でした。
リーダーたちによる実践的トークディスカッション
昨年のIGC Harmonicsでも好評だったトークディスカッションを、二木氏、荒井氏、そして庭山の3人で実施。マーケティングリーダーに求められる視点や戦略について語り合いました。STPなどの戦略の見直し頻度についての議論や、マーケティングの価値を社内で認めてもらうための工夫など、実務者ならではのリアルな意見が飛び交いました。特に印象的だったのは、マーケティングを理解する経営層との連携がいかに活動のしやすさに影響するかという点。荒井氏の「トップがマーケティングの経験を持つ環境に助けられている」という発言は、多くの参加者にとって新たな気づきとなったのではないでしょうか。
ネットワーキングで深まる絆と学び、そして刺激
皆さまが楽しみにされているネットワーキングの時間は、IGCH Echoでもたっぷり取って行いました。50名を超えるマーケティングリーダーたちが一同に会し、交流を深めました。業界や業態の垣根を越え「B2Bマーケティング」という共通点で繋がるこの場は、単なる情報交換にとどまらず、互いの活動や苦労を称賛し合う熱い場となりました。こういった場が初めての方は、最初、少し心配されていましたがすぐに打ち解け、活発な意見交換をされていたのがとても印象的でした。
参加者の声の一部をご紹介します
- 「マーケティングに携わって1年未満のため、他社のリアルな活動内容が聞けて本当に良かった」(製造業)
- 「中間管理職としての考え、苦悩が詰まったプレゼンで、非常に参考になりました」(ITベンダー)
- 「リーダークラスだけではなく、若手を含む多くのメンバーに聞かせたい内容だった」(サービス業)
- 「刺激的な世界のトレンドを知れて良かったです。5つのポイント、社内でも共有させていただきます」(製造業)
- 「自身で経営陣に語りかけてまわったり、自己研鑽の姿を率先したりと、とても理想のマーケティングリーダーだと思いました」(ITベンダー)
- 「当社に来ていただいて、上層部にプレゼンしてもらいたい」(ITベンダー)
「IGCH Echo」は、単なる勉強会や講演会ではなく、B2Bマーケティングリーダーとしての視座を鍛え、他者の経験や知見から学び、自らの組織に生かしていく、ある意味実践的な場です。変化が激しい昨今、リーダーたちがどれだけ柔軟に対応し、組織全体を巻き込んでいけるかが、成功の鍵を握ります。このイベントで得られた学びと刺激が、参加者それぞれの活動にどのような影響を与えられるのか、これからも注目していきたいと考えています。
IGCH Echoを開催して 代表庭山一郎より
冒頭でもお話ししたように、2024年来、世界のB2Bマーケティングは激動期に入りました。この動きは誰にも止められません。このことをマーケティングリーダーの皆さまに早くお伝えしたかったのです。ご参加されたリーダーの皆様には、こういった動きをチャンスと捉えるか、ピンチと捉えるか思案が難しいかと思います。それでなくても、日々多くの課題や葛藤に直面されていることでしょう。営業部門や他部門との連携をどう強化するか。部下の育成やチームの成長をどう支援するか。そして、経営層からの期待にどう応えるか。そういったお悩みをこの場で、同じ立場同士ぶつけ合うことで、「学び」と「刺激」が同時に手に入る、そんな場にしたいと考えこの「IGCH Echo」を企画しました。今回は予定人数を上回る多くの皆様にご参加いただき、うれしく思っています。
また初めての試みにもかかわらず、この趣旨にご賛同いただき、講演をお引き受けいただいた第一線で活躍中の2名の現役マーケティングリーダー、二木さん、荒井さんにこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
次回は、7月のIGC Harmonics 2025でまた皆様と学び、刺激し合えることを楽しみにしています。