グローバルマーケティングの設計実践ガイド

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グローバルマーケティングの設計実践ガイド

企業がグローバル展開を進めるうえで、マーケティング担当者はICP(Ideal Customer Profile:理想的な顧客プロファイル)の構築や地域の特性を考慮した効果的なコミュニケーションの設計、営業組織との連携、目標設定/改善と評価などの方法を理解することがますます重要になってきています。
Top Runners、今回は、新市場参入における基本的なマーケティング手法と、成功を収めるための具体的なポイントを解説します。20年以上、著名で国際的なB2Bブランドで勤務経験があり、現在はグローバルB2BマーケティングエージェンシーJust Global社でグローバルストラテジーのSVPを務める、Marcus Hiles 氏の日本初登壇となったIGC Harmonics2024 Day2の講演から振り返ります。

新市場参入の背景と重要性

グローバル展開を目指す企業にとって、新市場参入は成長の原動力となります。Gartnerの調査では、成長は常に企業の戦略的優先事項の最上位に位置しています。国境を越えた協力が容易となり、AIや機械学習といった技術の進化によって、デジタルプラットフォームを活用した市場参入の障壁が低くなっています。一方、McKinseyの調査では、ここ10年で世界的な収益の約半分がグローバルマーケティングによって生み出されています。このことからも、グローバル展開の重要性はますます高まっているわけです。

Marcus Hiles 氏

Marcus Hiles 氏

新市場参入の第一歩は、ターゲティングです。参入を検討する市場を徹底的に調査し、競争状況やバイヤーグループの特性を把握することが必要です。この際、企業はICPを明確にすることが重要です。ICPとは、企業が理想的な顧客と考えるターゲットの具体的な特徴を指します。これにより、マーケティング活動の効率化とROI(投資利益率)の向上が期待できるからです。例えば、収益規模、従業員数、成長率などのデータを基に、ターゲットとすべき企業を特定することができるようになります。

参入する市場での成功には、一貫したメッセージングは欠かせません。市場リサーチを基にして、差別化ポイントを明確にし、ターゲットとなるバイヤーグループに最適化されたメッセージを発信します。さらに、マーケティングプログラムには、購買意思決定者とのエンゲージメントを重視する必要があります。意思決定プロセスには複数のステークホルダーが関与するため、彼らのメディア消費習慣や直面している課題を理解することで、効果的なアプローチが可能になります。

現代のマーケティングでは、バイヤージャーニー全体を通して一貫性のある体験を提供することが求められます。意思決定者は、平均して17~27の異なるインタラクションを経て購買に至ると言われており、これらのタッチポイントを統一したストーリーで繋ぐことが重要です。
例えば、デジタル広告、ソーシャルメディア、ウェブサイトのコンテンツに至るまで、すべてが統一されたメッセージを発信することで、バイヤーの信頼を獲得しやすくなります。また、マーケティング目標と事業目標を一致させることで、成功への道筋をより明確にすることが可能となるのです。

効果測定のフレームワーク

マーケティング活動の成果を測定するためには、効果測定のフレームワークが必要です。これには以下の3つの柱が含まれます。

  1. カバレッジ:何社にリーチしているか、そのうち何社がWebを閲覧してくれたか
  2. エンゲージメント:ICPの何社とエンゲージでき、そのうち何社に影響を与えたか
  3. 収益:セールスファネル内での動き、増加しているか、オポチュニティが見られるか

これらの指標は、マーケティングプログラムの改善や投資判断に役立ちます。

Marcus Hiles 氏

Marcus Hiles 氏

グローバル新市場への参入は、企業にとって大きな挑戦ですが、適切なマーケティング戦略を活用することで成功への道を切り開くことができます。ターゲティング、メッセージング、一貫性のある体験提供、効果測定を組み合わせることで、新しい市場でのブランドプレゼンスを確立し、収益を最大化することが可能です。

「マーケティングは、単なる広告やプロモーションではなく、戦略的なビジネス活動の一環であることを忘れないようにしましょう」とMarcus Hiles 氏は力説しました。

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