企業の成長を牽引するマーケティング部門。日々の業務に追われながらも、戦略の見直しや新しい施策の企画など、成果を出すために日々社内で奮闘されています。
Top Runners今回は、単なる販促活動ではなく「顧客に刺さる提供価値は何か」「真のターゲットはどこか」を明確にする、顧客に響くマーケティング戦略を構築するためのヒントをNECソリューションイノベータ様のインタビュー内容から探っていきます。
GTMを“型”から実装へ——VPがしっくりこない理由
同社では、事業拡大というミッションの実現に向け、より戦略的なマーケティング活動、いわゆる「GTM(Go-to-Market)戦略」への刷新を進めていました。その一環として、顧客に提供する独自の価値を明確にする「バリュープロポジション(VP)」を定義するためのフレームワークをまずは作成。しかし、意気込んで作ったはずでしたが、各テーマに沿ってVPにまとめてみたものの、どうにもしっくりきません。そこで弊社のアドバイザリーサービスを使って、弊社の庭山とディスカッションをすることになりました。
“初回は「今会社がこう変わろうとしています」という話と、VPを1つサンプルで持って行ったところ酷評をいただきまして(笑)。「全然売れる匂いもしないし、自分たちのやれることを書いているだけで、何のVPにもなってないですよね」と言われました。”
(お客様事例から抜粋)
外部(第三者)の指摘を道しるべに。アドバイザリーで気づいた「本当の課題」
次のアドバイザリーでVPテーマに据えたのは、特定の業務システムに関する内容でした。短いタイムラインでGTMを進めるためのVPづくりは「まとめる」作業になりがちです。ところが「誰にでも届く」は、実は「誰にも響かない」ということがアドバイザリーの壁打ちから徐々に見えはじめてきます。セッションでは、顧客の本質課題に到達するまでの“掘りの浅さ”がクリティカルな論点として浮上しました。
“まず1テーマで実施して効果を実感したため、各テーマへ横展開し、合計4テーマでアドバイザリーを受けました。すると共通課題が見えてきて、私たちが理解できていないポイントが浮き彫りになり、理解を深めることができました。私たちが作ったVPがビジョンのようになってしまっているものもあれば、システム色が強いものも両面あったのですが、どちらにしてもお客様の課題のど真ん中を刺せていないということが分かりました。”
(お客様事例から抜粋)
営業と一緒に“腹落ち”する——連携が進む副次効果
もうひとつの大きな収穫が、営業との連携強化でした。マーケティングだけでなく、VPやICP(理想的な顧客プロファイル)といった概念を、営業も交えて議論することで、用語や狙いの理解が揃い、GTM全体の足並みが揃ってきます。また、営業メンバーを巻き込むことで、現場の経験則に寄りかかりすぎた“折衷案の罠”を、外部視点で正すこともできました。テーマから派生した論点も、その場で掘り下げられる“ライブ感のある壁打ち”は、報告書よりも早く、深く、納得感を生むことになったと言います。
「正解がない」からこそ、反復×壁打ちで確信をつくる
そこで今回、VPの策定にあたりフル活用いただいたアドバイザリー(サービス)とコンサルティングの違いについてお聞きしたところ、大変興味深いコメントをいただきました。
“おそらく1つ明確に見えている課題、事象の解決にはコンサルティングも素晴らしく役に立つだろうなと思ってはいますが、それではやはり1個の事象しか解決できないと思っています。今やっていることって、世の中もそうですし私たちがやっているものは正解がないので、メンバーの考えるスキルを上げていき、それを資産として残していかないといけないという点では、アドバイザリーでクイックに壁打ちしてもらい、気づきを得てやってみて、ダメだったらまたアドバイザリーを使うという方が、私は建設的なのではないかなと思っています。”
(お客様事例から抜粋)
B2B企業は、製品機能の説明から脱却し、真に顧客の課題に刺さる価値提案を行うことが不可欠です。そのためには、外部の専門家との対話を通じて、自社の思い込みから抜け出すことが重要だと、このインタビューでは説いています。この機会にぜひご覧ください。