DoV(Definition of Value)とは何か
DoVとは、自社の「何を」「どのような価値として」マーケティングするのかを定義する作業のことを指します。当社ではSTPを使ったマーケティング戦略の立案を数多く実施していますが、STPを行う前に必ずこのDoVという作業を行います。
日本企業は良い製品を作れば売れていた時代が長く、製品基点(モノ売り)の思考が強く残っています。市場がまだ成熟していない時期ではモノ売りも有効ですが、成熟した市場の中でのモノ売りは価格勝負や短納期のような、厳しい条件での商談になりがちです。また、既存顧客に対して別の製品を販売するクロスセル戦略を取ってきたため、製品ラインナップも非常に多くなっています。
こうした時代背景の中、日本企業には問題解決軸(コト売り)への転換が求められています。コト売りをするためには自社が持つ商材、もしくは商材ラインナップの内の何を、どのような価値として提供するのかを整理し直す必要があり、冒頭のDoVという作業を行う必要があるのです。
DoVを定義するために重要な目線
このDoVですが、実は非常に難しい作業です。理由は、マーケティング戦略を検討する際に「アリの目」だけでディスカッションをしていることが挙げられます。「アリの目」というのは俯瞰ではなく地面から物事を見ていることの例えで、自分達の目に見えるだけの情報、手元の事象だけを見ていることを指します。これも重要な目線なのですが、マーケティング戦略の策定において重要なのは「鳥の目」で物事を見ることで、俯瞰の目が必要だと言われています。プロのマーケターはこの「鳥の目」で物事を見る訓練をしているため、正しくDoVを定義することができます。
しかし、マーケティング人材が少ない日本のB2B企業では、自分達の目線だけでマーケティング戦略を決めることが多く、結果としていくらマーケティングをしてもターゲットに上手くメッセージが届いていない、ということになりがちです。
こうならないためにも、マーケティング戦略立案時には外部の「鳥の目」を持つプロを入れて、DoVをディスカッションすることを強く推奨しているのです。