ターゲット企業を面でおさえる、戦略的アプローチABM
ABM (Account Based Marketing)は、アプローチしたい企業(アカウント)を定義し、営業視点からマーケティングを設計して、営業とマーケティングが連携を行い、ターゲットアカウントからの売上の最大化を目指す戦略的なマーケティングです。
ABMを実施するためには、定義したターゲットアカウントに対して、単一の商材からの売上だけでなく、他の商材や他部門についても積極的に営業活動を行う必要があります。
例を用いて説明します。
ある製造業のA、B、C各事業部には、それぞれA、B、Cという主力製品があるとします。現在はターゲットアカウントに対して購買部門のみに、製品Aの販売実績しかありません。これは1対1、「縦」の関係、言い換えれば「点」です。
ところがABMは、これをn対n、「縦×横」の関係、つまり「面」で展開するための戦略です。具体的には、製品Aを購買部門だけでなく情報システム部、生産技術部など他の部署に、製品B、Cも購買部門を含む複数の部署にまたがって、網の目のように営業展開ができるようになります。そうすることで、ターゲットアカウントからの売上最大化を実現できるだけでなく、多部門に渡って営業が張りついているため競合の付け入る隙をなくすという効果もあるのです。
ABMが向いている企業とは
では、ABMで成果が出せる企業、ABMが向いている企業や組織などに特徴はあるのでしょうか?
ABMは、ターゲットアカウントからの売上最大化を目指す戦略的なマーケティングだと説明しました。そのため、まず営業がアプローチしたいと考えている企業や企業グループが明確になっている必要があります。また、そういったターゲット企業、ターゲット部署に対してクロスセルが可能な商材を(できたら複数)持っていることも重要なポイントです。一方で、ABMはアカウント(企業)を狙うマーケティングですから、購買の判断が1~3人の経営幹部で決まってしまうような規模の企業がターゲットとなる場合は、あまり必要はないかもしれません。
ABMは戦略であるため、やみくもに取り組むのではなく、まずは自社の戦略としてABMを取り入れるべきかどうかを社内でよく議論することが重要です。