オーケストレーションで未来を切り開け

庭山 一郎 儲けの科学
オーケストレーションで未来を切り開け

企業はそれぞれ固有のマーケティング・オーケストレーションを持つべきだ

私は2016年にABMを日本に初めて紹介した本『究極のBtoBマーケティング ABM』を書きました。それもあって、ABMをぜひやりたいという経営者からのご依頼をいただくことが多くなりました。

しかし、ABMはB2Bマーケティングの中でもデータマネジメント、コンテンツマネジメント、アナリティクスなどすべての分野で最高水準のレベルが要求される、ハイレベルなマーケティングです。ABMをやりたいと社長が言っている企業のマーケティング部門は、どう見てもアマチュア以下のレベルなのです。そのマーケティング部門でABMという難曲を演奏するのに残された準備期間は、たった6カ月ということが多いのです。

それでも私は、すべての企業が固有の音色で個性あるハーモニーを紡ぎ出すべきだと考えています。なぜなら、それが企業の固有の強みであり、個性であるからです。マーケティングとは市場とのコミュニケーションなのです。

マーケティングを強化すれば未来が見えてくる

マーケティングはイメージと違って地道な積み上げを必要とします。特に経済合理性に対する説明をロジカルに求められるB2Bでは、近道はありません。一歩一歩実力を蓄えるより他に進化の道はないのです。
今、日本企業が取り組むべきことは、これまで営業だけに任せていた〝売り上げをつくるプロセス〟にマーケティング を組み込んで再編成し、販売の生産性を引き上げることです。ものづくり、在庫管理、物流、事務などのバックオフィス系の生産性については、日本は世界に引けを取りません。しかし、残念ながら「フロント」つまり「売り上げを生み出す」部分の生産性はとても低いのです。

この本は私の実務経験を基に、B2B企業の営業の生産性を引き上げるための理論、戦略、組織、ツールなどに関する考察をまとめたものです。さらに、それを具体的に改善するためにマーケティング部門、CMO、インサイドセールス、営業部門、販売代理店、カスタマーサクセスなどがどうあるべきかについても書いています。日本企業は今、マーケティングを全力で学び、それを経営戦略の中心に据えて全体最適のマーケティング&セールスの再編に取り組むときです。目指すべき姿は、会社全体で最適に調和された〝マーケティング・オーケストレーション〟なのです。

この本は〝マーケティング・オーケストレーション〟について書かれた、日本で初めての書籍です。



出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より



参考コラム
「儲けの科学 The B2B Marketing」出版によせて