日本のABMを阻む「俺の客問題」

組織 ABM
日本のABMを阻む「俺の客問題」

日本はマーケティングより圧倒的に営業が強い

「営業 vs マーケティング」というB2B企業向けのコンテンツをこのところよく目にします。
このようなコンテンツで描かれているように、日本企業も、外資系の日本法人も、営業部門が社内で大きな力を持っていることが多いのではないでしょうか。
いざ社内で「マーケティングを始めるぞ!」となり、全社のデータを統合管理しようとしたとき、営業担当者が持っている名刺をMA (Marketing Automation)に入れられない、拒まれてしまったというケースが多いと感じています。

「俺のお客様なんだから勝手にメールを送るのはやめてくれませんか!」

シンフォニーマーケティングでは、昔からこれを「俺の客問題」と呼んでいます。
もちろん「俺の客」ではなく「企業の顧客」なのですが、営業部門は顧客との商談においてさまざまな権限が付与されているため、顧客のグリップが強くなります。そこまでの関係を築くためには想像以上の苦労があったのもよく分かりますが・・・。

「俺の客問題」を解決しないとABMはできない

ABM (Account Based Marketing)は、全社の顧客情報を統合し、営業とマーケティングの連携によって定義されたターゲットアカウントからの売上最大化を目指す、戦略的なマーケティングです。
もうお気づきですね?
もし「俺の客問題」がある企業が「ABMをやろう!」となった場合、解決しないといけない問題があることを。それでは、どのようにこの課題を解決したらよいのでしょうか。

最近、無事にABMをスタートできた外資系企業のA社様の例をご紹介します。
A社様は、HQ (Head Quarters)から「日本でもABMを実施するように」と言われ、当社に相談に来られました。最近はこういったリクエストが、外資系企業様やグローバル展開されている日本企業様から多数寄せられています。

A社様の日本法人は、日本で長く営業活動をしていることもあり、日本企業と変わらないマインドセットであり先ほどの「俺の客問題」の状態でした。
そこでまずは、営業部門のマーケティング偏差値をあげてもらうために、営業部門とマーケティング部門で全員参加の勉強会を実施しました。「ABMとは何か?」を丁寧に説明した上で、両部門で一緒にターゲットアカウントへの戦略をつくることにしました。
これがなければ、ABMは実現できません。

その結果、最初は拒まれていた「俺の客」をマーケティングに活用することができ、営業部門とマーケティング部門が一緒にターゲットへの戦略的アプローチを行うことができるようになりました。