「コト売り」が大切な時代だからこそ理解したい「キャズム理論」

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「コト売り」が大切な時代だからこそ理解したい「キャズム理論」

「キャズム理論」とは?

「キャズム理論」をご存じでしょうか?
1991年にG.ムーアが提唱したもので、イノベータ理論のベルカーブの中に、キャズム(谷)があることを発見しました。ではこのキャズムとは何なのか、なぜキャズムが発生するのかについて紐解いてみましょう。
これが理解できると、今、多くの企業が取り組んでいる「コト売り」のヒントが見えてきます。

「キャズム理論」を理解するうえで知っておくべき、2つの理論

キャズムを理解するうえで、2つの理論をおさえておく必要があります。
1つ目は、前述の「イノベータ理論」です。この理論は、1962年にE.ロジャーズが提唱したもので、分布の形状が釣鐘型をしていることから、「イノベーションのベルカーブ」と呼ばれています。そして、問題のキャズムはイノベーションのベルカーブの中の、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティの間に存在しています。

イノベーションのベルカーブ

そして2つ目は「ホールプロダクト」です。
この理論は、T.レビットが1960年代に提唱した考え方です。ポイントは、製品自体が持つコアな機能と、購入する側が期待している機能の間には、大きな差があることです。そしてこの差を埋めない限り、購入者はこのメーカーや製品から離れていくか、不足している機能を買い足すなどの不便さを強いられ、不満だけが残ることになります。

ホールプロダクト

「コト売り」視点で、キャズムを活用する

これら2つの理論から、G.ムーアが考えたキャズム発生のメカニズムは次のとおりです。
主要マーケット(アーリー・マジョリティやレイト・マジョリティ)が評価するのは、ホールプロダクトの期待プロダクトや拡張プロダクト、つまり購入者の利便性を考えた「コト売り」の部分です。しかし、これらが用意されていない、スペック中心の「モノ売り」状態だと初期マーケット(イノベータやアーリー・アドプター)から主要マーケットにはたどり着けず、ここでキャズムに落ちて、消えてしまうことになるのです。

自社の新製品は、イノベーションのベルカーブのどのステップにいますか?期待プロダクトや拡張プロダクトは用意されていますか?キャズムに落ちていませんか?この機会に総点検されてはいかがでしょうか。