STPが苦手だから日本企業は売れない市場で苦戦する

庭山 一郎 儲けの科学
STPが苦手だから日本企業は売れない市場で苦戦する

良い製品やサービスが売れているのではない

マーケティングを軽視する人が陥る間違いがあります。

「良い製品(サービス)なのに売れない」と困っているのです。

これは「良い商材なら売れるはず」「売れている製品やサービスは良いものだから」という勘違いが「良い製品なのに売れない、おかしい」という勘違いを引き起こしているのです。

日本のB2B企業が製造、販売する製品やサービスで粗悪なものはほとんどありません。
ですから、多くの製品やサービスは良質ですが、大半は売れずに消えていきます。

その理由は、「勝てない市場に乗せられた」からなのです。

言い換えれば、売れている商材というのは「それが勝てる市場に正しく乗せてもらって、その市場に最適化されたマーケティングとセールスを実施された商材」なのです。

B2Bでは、どんな製品やサービスでも勝てる市場でしか勝つことはできない

正しくSTPが使えず、その商材が勝てる市場を見つけることができなければ、できることは一つだけで “みんなが乗っている市場に乗せる” ことしかできません。そこが自社の製品やサービスの勝てる市場であるかどうかは分からないのです。

フィリップ・コトラーの提唱した「STP」は、マーケティングを学んだ人にとっては誰でも知っている最もよく知られたモデルの一つでしょう。
しかし、これほど誰でも知っていて、誰も使いこなせないモデルはないかもしれません。特に日本のエンタープライズB2B企業は「ターゲットセグメント」と呼ばれる、自社の製品やサービスが勝てる市場を探すことを苦手にしています。

なぜ日本のB2B企業はSTPが使えないのか? 

その理由は日本企業がターゲット市場をフォーカスできないことです。
ではなぜ、フォーカスできないのか?
その理由は、「捨てることができない」からです。
つまり、フォーカスとは捨てることなのです。


出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より