歴史、そして乗り遅れた2つの革命とAIの衝撃

庭山 一郎 儲けの科学
歴史、そして乗り遅れた2つの革命とAIの衝撃

歴史、そして乗り遅れた2つの革命とAIの衝撃

B2Bマーケティングは、ダイレクトマーケティングの系譜を引いているといわれます。
1980年代の後半、米国ではダイレクトマーケティングからデータベースマーケティングへと進化した手法を個人(toC)ではなく、法人向け(toB)に使う人たちが出てきて、B2Bマーケティングというカテゴリーが誕生します。

実は、米国でデータベースマーケティングから法人向けのマーケティングが派生した時点では、日本は海外に大きく遅れていたわけではありません。
その後、米国を中心に起きた〝3つの革命〟に乗り遅れてしまったのです。
それは1990年代に起きた「デマンド革命」、2000年代に起きたMAをはじめとする「マーケティングテクノロジー革命」、そして2020年になって起きた「ジェネレーティブAI革命」です。
では、一つ目の革命である「デマンド革命」を紐解いてみましょう。

「デマンド革命」 SFAの普及には10年も…そして時代はデマンドジェネレーションへ

1990年代の米国で、営業案件をパイプラインでマネジメントすることによって売り上げを向上させる企業の数が増えてきました。受注に至る営業案件を可視化して、来月の受注、次の四半期の受注が読めれば、今期の着地も予測でき、来季の見通しも立てられるからです。
その課題を解決してくれる営業案件を管理するツールである「SFA(セールスフォースオートメーション)」が登場したのは1980年代だったのです。

「可視化できれば手が打てる」
という10年越しの期待にSFAが応えた現象でした。これでSFAの普及に火が付きました。

1990年代の中ごろになって、SFAが第2世代へ移行。機能も使い方も飛躍的に向上したタイミングで、米国の先進的な企業の中から、マーケティングの重要性に気が付く企業が出てきます。パイプラインの中にある案件の減衰率を改善するより、パイプラインの案件数を増やすほうがずっと簡単なことに気が付いたのです。

では、そのパイプラインの上流にある分母、案件数を増やすにはどうしたらよいでしょうか? その答えが「デマンドジェネレーション」と呼ばれるB2B企業のマーケティングだったのです。
こうして営業案件を増やすことを目的にしたマーケティングを「デマンドジェネレーション」と呼び、それを担当する組織「デマンドセンター」を編成する企業が増えてきたのです。

私は1990年代後半に米国で起きたこの革命的な出来事を「デマンド革命(レボリューション)」と呼んでいます。


出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より