営業利益を15%伸ばした営業に寄り添うアラインメント

庭山 一郎 儲けの科学
営業利益を15%伸ばした営業に寄り添うアラインメント

日本企業が連携できない理由

世界の先進国では「ものづくり」と「セールス」と「マーケティング」が高度に連携(アラインメント)しています。それはお互いを尊敬するからできることです。マーケティングが営業をリスペクトしなければ連携などできるはずはありません。お互いをリスペクトした専門集団が、同じ情報をリアルタイムにシェアしながらハーモニーを生み出し、それによって新たな市場を獲得し、既存の市場の守りを固めているのです。
それは、まるでいくつものパートから成るオーケストラが、指揮者のタクトに合わせて荘厳な交響曲を奏でているように見えます。

では日本企業はどうでしょうか?

例えば製造業は、製品ごとに事業所(工場)があり、そこには製品開発から各製造工程、そして営業、販売代理店まできれいに縦の社会になっています。日本企業のこうした縦の連係は「垂直統合型」といわれる見事なものです。しかし、実は隣の事業所のことは競合企業のことよりも分かっていません。

これでは「ものづくり部門」と「マーケティング部門」と「営業部門」がデータをリアルタイムにシェアして、見事なオーケストラとしてハーモニーを奏でている先進国の企業と戦えるわけがないのです。

なぜ連携できないのでしょうか?
その答えは「指揮者=CMO」がいないからです。

指揮者は、オーケストラを全体調和させます。マーケティングにおいて、この指揮者の役割
はCMOしか務めることができません。

アラインメントの衝撃 アラインメントの結果、何が起こったか?

世界のB2Bマーケティングを理論的にけん引してきたアナリストファーム、シリウスディシジョンズ(2019年にフォレスターが買収)の創業者であるジョン・ネーサンが、2015年に開催された同社最大のカンファレンスであるサミットのステージで、アラインメントについて語りました。

マーケティングデータの分析結果を、ものづくり部門(研究開発や設計)とマーケティング部門とセールス部門が共有し、製品開発や、マーケティングキャンペーンや、セールス方針を決めたとしたら、何が起こるでしょうか?

「ものづくりとマーケティングとセールスが高度に連携した場合、売り上げの成長は19%早くなり、利益は15%も増加する」

この発表を聴いていた3000人のマーケターのどよめきを、今でも鮮明に覚えています。私もこの数字に息をのんだ一人でした。15%という利益増加が信じられなかったからです。


出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より