多くの市場が成熟期を迎え、従来の主力事業だけでは企業の持続的な成長が難しくなっています。このような状況の中、化学メーカーの三洋化成工業様は、未来を切り拓くための全社方針として「両利きの経営」を掲げ、既存事業の深耕と並行して新製品を新市場に投入する新たなうち手にチャレンジされた、改革の取り組みをご紹介します。
新規事業「フラボトーン」とマーケティングへの転換
新規事業の象徴的な例は、匂いをデータとして可視化する画期的なセンサー「FlavoTone(フラボトーン)」事業です。従来の化学品ビジネスとは全く異なる分野への挑戦であり、社内でも特に有望な新規事業として大きな期待が寄せられていました。
しかし、全く新しい市場を開拓するには、従来の「B2Bは営業主導」という発想からの転換が不可欠です。技術開発が一段落した今、多様な市場で顧客の課題を見つけ、解決策を提案する「マーケティング主導」のアプローチが、事業成功の鍵だと考えていました。
客観的な視点が意識を変える。B2Bマーケティング強化への道
実は、今まで同社ではマーケティングという概念がまだ浸透しておらず、「営業がマーケティングを担う」という風土でした。この状況を変えるきっかけとなったのが、弊社による客観的な診断サービスの活用です。
フラボトーンのWebサイトを立ち上げた際、その効果を測るために診断を受けたところ、コンテンツの質や更新頻度といった課題が明確になりました。担当者によると、社内で感じていた課題を社外の専門家から客観的なデータと共に指摘されたことで、実務を担う若手メンバーも深く納得し、組織全体の意識が大きく変わる起爆剤になったと言います。
未来を拓くマーケティングへの展望
現在、三洋化成工業様では、一方的な情報発信から脱却し、顧客一人ひとりのニーズに合わせたコンテンツを届ける、より高度なマーケティングを模索しています。生成AIなどの最新技術も視野に入れ、約3,000種類もの製品群を自社のマーケティング主導で新たな市場へ展開する体制強化を急いでいます。
伝統的なものづくり企業が、自らの殻を破り、マーケティングという新たな武器を手に未来を切り拓こうとする本事例は、成熟市場で成長を目指すすべての企業にとって、大きなヒントとなるのではないでしょうか。
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