ABMこそが日本のBtoB企業が大車輪で取り組むべき戦略
日本経済が元気を失い、日本企業の多くも元気がありません。日本の未来が明るいと考えているビジネスパーソンは少ないように見えます。
株式時価総額で比較する企業ランキングの上位には日本企業の姿はほとんどなく、為替もあいまって日本を代表する企業すら外国からの企業買収の対象になるほどです。日本企業は割安な買い物なのです。
割安の一つの原因はコングロマリットディスカウントです。
50年、100年の歴史を持つ日本の大手企業はその歴史の中で多くの事業や製品・サービスを生み出してきました。日本人は生み出すのは得意ですが、壊すのはとても苦手です。先輩社員がつくり上げた事業や製品を止めたり売却したりすることに抵抗を感じる義理堅い人が経営者に多いのです。その結果、多くの企業は社員ですら覚えきれない数の商材を抱えています。存在を知らない商材を組み合わせてシナジーを生み出せるはずがありません。
社員が知らないなら顧客が知っているわけもありません。知らないものは絶対に買わないのです。
顧客が付き合いの長い企業の商材の存在を知らない理由は「マーケティングの不在」です。
日本のBtoB企業は顧客とのインターフェースを「人」だけに頼ってきました。マーケティングやテレビコマーシャルなどはBtoC企業のやるべきことで、BtoB企業は人こそが唯一のインターフェースであり、他のチャネルなど必要ないと考えていたのです。
コングロマリットディスカウントから、コングロマリットプレミアムに転換するには、このマーケティングの強化以外に道はありません。中でもABMこそが日本のBtoB企業が大車輪で取り組むべき戦略なのです。
本書は日本企業がABMに正しく取り組むためのガイドであり、手引書です。
出典:法人営業は新規を追うな 重要顧客と最高の関係を築くABM 庭山一郎著(日経BP)より