ABMがうまくいかない企業は、ターゲットアカウントの決め方が雑
ABMがうまくいかない企業の話を聞いていると、ターゲットアカウントの決め方が雑なことが多くあります。ターゲットアカウントは「重要顧客」と呼ばれますが、例えば20社をターゲットに選ぶとします。もちろん単純に売り上げのトップ20社ではありません。その業界の売り上げ上位20社でもありません。
「最も伸びしろがある20社」を探す必要があります。なぜならば顧客が自社の製品やサービスをよく知っていて、それでも他社の製品やサービスを選択しているケースでは、それをリプレースすることはとても難しいからです。BtoBはプロとプロの世界です。BtoCのように売り手と買い手の専門知識の差が大きく、売り手側に圧倒的なアドバンテージがあるとは限りません。それどころか工作機械などは、それを販売しているセールスよりもその機械を日々使って加工しているユーザーのほうが詳しいことは普通にあるのです。
ですから、よく知っていて買わない場合、買わない確たる理由が存在します。性能、コスト、他の機械や制御システムとの連携などで、これを覆すのは非常に困難なケースが多いのです。
ターゲットに選定すべきは、このDoVで解決できる課題を抱えている企業です。この状態であることを前提にして、属性である規模(社員数、売り上げ、事業所数など)やエリアなども考慮し、さらにその企業に所属する個人情報の数や、担当する事業所や部署にどれくらいのコンタクトポイント(名刺の表面と同等の情報)があるか、などで選定しなければなりません。
またABMは手間が掛かるマーケティングであることを理解しなければなりません。事前のリサーチもデータマネジメントもコンテンツマネジメントもとても詳細に運営する必要があるからです。欧米の先進国ではABMの専門部隊をつくり、ABMに特化したシニアマネジャーや担当副社長を配置するほどです。そうして予算やリソースを投入するからにはそれを回収しなければなりません。販売しようとしている商材が回収できるだけの価格になっているか、相手がそれを購入する財務基盤を持っているかも重要です。
出典:法人営業は新規を追うな 重要顧客と最高の関係を築くABM 庭山一郎著(日経BP)より

