戦略なきシステム導入―アンゾフ博士が泣いている―

庭山 一郎 マーケティング偏差値
戦略なきシステム導入―アンゾフ博士が泣いている―

「何を基準にそのシステムを選んだのかね?」

イゴール・アンゾフ博士をご存じでしょうか。1918年にロシアで生まれた米国人で、1960年代から1970年代に活躍し、多くの論文と歴史的な著作を残した人です。物理学や数学の学者であり、ランド研究所で研究員を務めた後、ロッキード社の副社長として大企業の経営にも参画し、さらに大学教授としてもコンサルタントとしても活躍しました。アンゾフマトリクス、ギャップ分析、3Sなどの理論が有名で、現代の経営戦略論の源流に位置する一人 と言っても良いでしょう。

アンゾフ博士は企業経営の要諦として、「3S」を提唱しています。

  • Strategy (戦略)
  • Structure (組織)
  • System (システム)

私はこの3Sを、「戦略を立て、それを実現する組織を構築し、その戦略と組織を要件定義にしてシステムを選択・開発すべきである」と解釈しています。もちろん戦略は目的を達成するためであり、目的とは経営戦略の達成です。

戦略と組織は「綾織り」の関係

多くの企業で導入が進んだMAは売上貢献の道具です。道具は便利で大事ですが、道具を選ぶ際の基準は、実現したい戦略と、道具を使う組織であるべきです。どちらも持たない企業が導入すれば、MAの場合、本来の目的とは異なる、単なるメール配信システムに成り下がってしまうのは当然のことです。戦略と組織は「綾織り」の関係です。どんな戦略であっても、実行するのに十分なスキルリソースを持った組織がなければ実現できません。

改善方法は一つしかありません。ただ人を集めるのではなく、きちんと人を育てることです。やる気に満ちあふれた人を集め、適性を見て選考し、選んだ人に学ぶ機会を与えるのです。将来幅広い選択肢の中から自社の戦略を構築したいと思えば、今、マーケティング人材に投資するしか道はありません。

「BtoBマーケティング偏差値UP」 庭山一郎著(日経BP)より



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