ABMの思考は営業とマーケの溝を埋める

庭山 一郎 ABM 法人営業は新規を追うな
ABMの思考は営業とマーケの溝を埋める

ABMを実践するうえでの大きな障壁「俺の客問題」

ABMのターゲット企業を選定するとき、基本的には「既存顧客」の中から選びます。それは既に信頼関係が築けていること、付き合いが長ければ長いほどその企業に所属する個人情報を名刺交換によって保有していること、そして、その企業を担当しているアカウントセールスの頭の中には、SFAやCRMに書かれていない顧客の情報が豊富に存在することなどが理由です。

ただ多くの場合、その大口顧客を担当しているアカウントセールスは徹底的に対面で顧客と向き合っているので、マーケティングと連携した経験を持っていません。マーケティングというものは新規の顧客開拓や新製品の販売で使うもので、既存製品を買っていただく既存の大口顧客には不要だと考えている人が日本では経営層にすら多いのです。

ですから、経営者がABMを採用しても、アカウントセールスチームが強烈に抵抗するのはある意味「普通のこと」です。これをシンフォニーマーケティングでは「俺の客問題」と呼んでいます。

「俺の名刺はデジタル化しないから」
「俺の客に勝手にメール配信するのは止めてくださいね」
「まさか俺の客に勝手に電話とかしませんよね?」

こうした言葉をアカウントセールスから何度言われたか分かりません。しかし、このマーケティングと連携した経験のないアカウントセールスチームがひとたびABMに協力し始めると、驚くような成果が出ます。セールスチームが持っている顧客情報はそれほど重要なのです。

だから、経営戦略の柱にABMを据え、高い目標を設定することは効果があります。既存顧客の売り上げを30%伸ばせと言われれば、いつも通りの営業活動でのオーガニックなストレッチでは達成不可能ですから、アカウント営業もマーケティングと連携せざるを得ないのです。



出典:法人営業は新規を追うな 重要顧客と最高の関係を築くABM 庭山一郎著(日経BP)より