正しくロジカルに分ける・・・ 日本人が苦手な理由

庭山 一郎 CMO
正しくロジカルに分ける・・・ 日本人が苦手な理由

「ハワイか、ヨーロッパ」という考え方が問題なワケ

ロジカルシンキングという言葉は読んで字の如く、ものごとをロジカルに考えようというものですが、実は私たち日本人にとっては苦手な考え方です。

日本人は農耕民族のDNAを色濃く持っています。白黒をはっきりすると角が立つので、丸く収めて仲良くやろうとします。灰色で丸く収めることは村の中で水を分けながら稲作をする日本型農耕で日本人が培った思考回路ですが、これはロジカルシンキングとは真逆の回路なのです。

「今年の夏休みは“ハワイ”に行こうかな、でも“ヨーロッパ”にも行ってみたいなぁ」

これは日常でよく聞く会話で、友人同士のおしゃべりであれば何の問題もありません。
しかし、これがビジネスにおいては、「ディメンジョン(Dimension:分類水準)が違う」ということになり、ひいては「あの人はロジカルに考える力が無い」となってしまいます。ビジネスにおいて「ものごとを正しく分類できないこと」は致命的なのです。

具体的には、“ハワイ”は米国の州の中のひとつで、“ヨーロッパ”はユーラシア大陸西部にある広大な地域を指し、その中には多くの国があり、その国の中にさらに多くの州があります。つまり分類水準で言えば2階層も違うことになります。
ハワイと同水準なら例えば「ドイツのバイエルン州」となり、ヨーロッパなら例えば「南太平洋」と言わなければ水準が合いません。
B2Bマーケティングの世界でもこれとよく似た会話を、たびたび耳にします。

「今年のリードジェネレーションは、設計・製造ソリューション展とオンラインのどちらで行きますか?」

設計・製造ソリューションは、展示会というカテゴリーの中の製造業ターゲットの人や企業が集まる代表的な展示会の固有名詞です。一方、オンラインはそれが「インターネットの活用」という意味であれば、インターネットを利用したリードジェネレーションの施策は、SEOやホワイトペーパーダウンロード、動画閲覧など数多く存在します。これも階層が2つ違うのです。

水準を正しく分けることは、会議の生産性ととても深い相関があり、マーケティングに必須のスキルなのです。

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