ロジカルシンキング クライテリア(分類基準)を揃えるとは

庭山 一郎 CMO
ロジカルシンキング クライテリア(分類基準)を揃えるとは

「ニューヨークか、芸術鑑賞」という考え方が問題なワケ

以前、ロジカルシンキングの中のディメンジョン(Dimension:分類水準)のことを書きました。
[関連コラム:正しくロジカルに分ける・・・ 日本人が苦手な理由

今回は水準ではなくて“基準”について書こうと思います。これをクライテリア(Criteria:分類基準)と言います。

「今年の夏休みは“ニューヨーク”に行こうか、それとも“芸術鑑賞”をしようか迷っている」

これも日常で耳にする会話です。“ニューヨーク”というのは米国を代表する大都市の名称で「場所の概念」です。“芸術鑑賞をする”というのは、夏休みに何をして過ごすのか、という「時間の概念」です。つまり基準が違うので比較対象にならないのです。

ニューヨークには世界を代表する美術館が数多くあり、メトロポリタン美術館だけでも丁寧に観れば数日かかるでしょう。つまりニューヨークで芸術鑑賞をすることは充分可能なのです。
「今年の夏休みは“ニューヨーク”に行くか、“パリ”に行くかで迷っている」であれば基準は揃っています。同様に、「今年の夏休みは合宿型の教習所で自動車の“運転免許を取る”か、“芸術鑑賞をする”かで迷っている」なら基準は揃っています。

実はこれもマーケティングの現場で時々耳にする会話です。

「マーケティングWebのコンテンツはケースが良いのか、それとも数が大事なのか、どちらですか?」

こんな質問をいただきますが、ケースというのは事例つまりコンテンツの「種類」のことで、数というのは「量」のことです。基準が違いますし、そもそも両立できるものです。

この会話の裏側には、導入事例などのケースは相手方の校正も必要で完成までに時間がかかるため、コンテンツの種類にこだわらなくても数があればサイト訪問者は満足するのではないか?というマーケティング責任者の考えもあります。気持ちはよく分かりますが、これは事例を量産できる仕組みを作れば両立できる話なのです。

つまり基準が違うことを同じテーブルに乗せるのではなく、分けて考えることが課題解決のためにはとても大切なのです。

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