成果はマーケティング偏差値で決まっていた

庭山 一郎 儲けの科学
成果はマーケティング偏差値で決まっていた

「マーケティング偏差値」が全社的に大切な理由

私の会社が、B2B企業のマーケティングスキルアセスメントをサービス化してから、既に約7000人以上のエンタープライズ企業の受検者データが集まっています。このデータを分析してはっきり見えてきたことは、『〝マーケティング偏差値〟と業績との強い相関』です。
営業の予算会議や事業部会議で、保有しているリードデータやその中の企業規模や部署別の分布の話が普通に出るようになれば、その企業はかなり強いと言えます。

また、マーケティングのフレームワークや、分析モデルなどが共通言語化されている企業は、トップマネジメントが考えた経営戦略を理解して実施することができます。理解していないことは実施できないし、根本的な理解がなければ、問題が発生したときに間違った方向に舵(かじ)を切ってしまうことが多いのです。

マーケティングレベルを偏差値でチェックする

マーケティングに関しては、「できている、やっている」という人がどの会社にも存在します。営業部門にも「マーケティング活動なら私がやってるよ」という人がおり、ABMも「ウチの事業部は、アカウントプランはかなり精緻にやってますよ」という人がいます。ものづくりでは「DXを意識したものづくりをやっています。マーケティングですよね、DXって」と話す不思議な人さえ見かけます。

そうした人たちと議論してもキリがないですし、顧客を論破しても良いことはありません。そこで「まずは知識をアセスメントさせてください」と言って、偏差値を出してもらいます。確かにある科目は高いのですが、多くの場合トータルでは60に届かないレベルになります。偏差値の優れたところは「60以下では優秀だとは言えない」ことが、イメージレベルであっても理解されている点です。具体的に数値化しないとなかなかアクションが起こせないという問題も、偏差値なら解決できるのです。

「我が社のマーケティングのレベルを上げたい」という経営者が多いのはご存じの通りです。その際、「現在の全社偏差値【52】を1年以内に【60】に、研究開発や設計、マーケティングなどの重点強化部門は【68】に上げるように」と具体的に指示できます。マーケティングレベルも計測できなければ、どうやって上げるのかも、どう計測するのかも分かりません。
今では当社の顧客は、「現在この事業部のマーケティング偏差値は【47】なので、主力商材の新バージョンがリリースされる来年の6月までに【60】まで向上させます、そのために……」という具体的な改善策まで計画できるようになっています。



出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より



参考コラム
企業が目指す「マーケティング偏差値60」