「MOps」の再評価と「RevOps」への進化
MOpsとは、Marketing(マーケティング)とOperation(運用)の造語で、米国では10〜15年ほど前から耳にする機会が増えた言葉です。当初のMOpsは現代のMOpsとは異なるミッションの組織でした。
当時はその名のごとくオペレーションの専門チームだったのです。
そのMOpsがにわかに存在感を強めたのは、マーケティングに使うツールや技術が多様化し、一気にその数が増えたことがきっかけでした。これには戦略の理解が不可欠です。さらに言えば、最新のテクノロジーの選択が戦術を決めますから、現代のMOpsは単なるオペレーションではなく、もっと技術寄りの「情報収集」と「連携操作」に軸足が移りました。もう作業者の集団ではなくなったのです。
そして「RevOps」へ
マーケティングに使う技術・ツール群として「MarTech(マーテック)」と、セールスに使うツール群である「SalesTech(セールステック)」がありました。
MarTechの代表がMAであり、SalesTechの代表がSFA/CRMです。
これらのツール群は導入を主管する部門もマーケティングとセールスに分かれ、多くの場合、運用もプロセスの定義も異なるため、別々に運用され、連携も「疎連携」のレベルでした。さらにカスタマーサクセス部門がCRMと連携して使うテクノロジーも同様に進化し、その数が増えたことで、それぞれ専門のオペレーションチームを抱えることになりました。
ところが10年ほど前から、MarTechとSalesTechはAPIでシステム連携させるだけではなく、運用面でも有機的に融合しなければ売り上げに貢献できないという考え方が出てきました。その連携を、Revenue(売り上げ)とTech(テクノロジー)を組み合わせて「RevTech(レブテック)」と表現する人が出てきました。
その後、Revenue(売り上げ)とOperations(運用)を組み合わせた「RevOps(レブオプス)」という言葉がB2Bマーケティングの世界に登場したのです。マーケティング、セールス、カスタマーサクセスの、3つの売り上げにつながる業務を担当する、テクノロジーとそのオペレーションを統合したものです。
MarTechに関してはMOpsが機能していましたから、これにセールスとカスタマーサクセスのソリューション選定、連携、そしてそのオペレーションが加わったのです。その変化はシステムのオペレーションにとどまらず、組織的な変革に発展しました。
MarTechを管掌していたCMOとSalesTechを管掌していたセールスVPの上に、収益を統括するCRO(チーフレベニューオフィサー)を置いて、CROがマーケティングとセールスとカスタマーサクセスすべてを統括する組織を採用する企業が出てきたのです。
出典:儲けの科学 The B2B Marketing 庭山一郎著(日経BP)より